多くのiPhoneユーザーが待ち望んだことでしょう。ついに iPhone15シリーズでiPhoneの端子をUSB-C端子に変更することを発表しました。
ようやくと言った感想を持つ人が多いと思うんだけど、今回はUSB-Cに対応した理由と併せてiPhone15シリーズがどんな進化をしたのかを解説していきます。
ついにUSB-C(Type-C)に変更
いままで頑なに守り続けてきたiPhone独自の充電ケーブル、Lightningケーブルですが、今回のiPhone15から廃止。そして新たにUSB-Cに充電規格が変更されることが発表されました。
Lightningケーブルはアップルの収入源
ところでなんで今までAppleが Lightningケーブルに拘り続けてきたのか。それはLightningケーブルはアップルの貴重な収入源だからです。
Lightningケーブルは言わずと知れたiPhone専用の端子ケーブルです。このLightningケーブル1本あたりAppleは200円のライセンス料を得ることができていました。
だからこそアップルはLightningケーブルからの脱却をしたくはなかったのです。その証拠に2012年に発売されたiPhone5から2022年のiPhone14までこのケーブルを使うことを守り続けてきました。
しかし、ある事情により、仕方なくType-Cに対応せざるを得なくなりました。
ヨーロッパで可決されたType-C統一法が決め手
その事情というのが2022年7月にヨーロッパで可決されたType-C統一法です。
この法案は名前の通り、小型ガジェットの充電規格をUSB-Cに統一するという法案で、2024年7月からヨーロッパではUSB-Cに対応した商品のみの販売が許可されるというもの。そして、今は絶賛その移行期間中です。つまり来年7月以降ヨーロッパでiPhoneを売り続けるためにはアップルはUSB-Cに対応させる必要があったというわけです。
推測になりますが、Appleは一時的にでもヨーロッパ諸国でiPhoneを販売できないのを良しとせず、今年のモデルからUSB-Cに対応した商品の販売に踏み切ったのではないでしょうか?
まだまだLightningケーブルの需要は増えないけど、落ちない
ただ今回のiPhone15からUSB-Cに対応したからと言ってLightningケーブルの需要が落ちるわけじゃありません。
15以前のiPhoneユーザーもまだまだ世間には多いでしょうし、iPhoneユーザーが全員Type-C端子になるのはまだまだ先の話。
このタイミングでUSB-Cに規格を変更してもアップルにはライセンス料が支払われます。だからアップル的にはそれほど痛手ではないのでしょう。
考えうる最速のUSB-Cへの対応
昨年の7月にType-C統一法が可決されたと考えるとこのタイミングでのUSB-C対応はアップルにとっては最速の対応とも言えるのではないでしょうか?
昨年リリースされたiPhone14シリーズはすでに開発が進んでいたことでしょうし、iPhoneの新作発表はもはや夏の風物詩なので、14シリーズにUSB-Cを対応させようとしても間に合わない。
僕はてっきり16シリーズまではLightningで粘るんじゃないかとまで思っていましたが、Appleは想像以上のスピードで対応してみせ、iPhone15から USB-Cに対応させました。
やっぱりちょっとでも販売できる量を増やしたいという思惑なのでしょうが、対応の速さは流石の一言。
USB-Cのメリット
Lightningのままで良くない?って話でもあると思うんだけど、USB-Cを使うことのメリットは大いにあるので、ついでに解説していきます。
高出力電力供給・高速伝送
USB-Cの大きな特徴としてUSB3.1(Gen2)という規格になっており、従来のUSB2.0の20倍の転送速度を誇っているというところ。
簡単にいえば充電もデータの転送もUSB-C経由なら早くなるということです。
※USB2.0が転送速度最大480Mbpsに対し、USB3.1(Gen2)は10Gbps
ケーブルの汎用性が高くなる
LightningケーブルはiPhoneにしか使えないことでお馴染みでした。そのため、モバイルバッテリーを使う際にはLightningケーブルとイヤホン充電用にUSB-Cを持ち歩いているという人も多くいたでしょう。
iPhoneの充電がUSB-Cでできるようになれば、USB-Cだけの持ち歩きでほぼ対応できるようになります。持ち歩く荷物も減るし個人的には嬉しいポイントだったりします。
iPhone15シリーズはどう変わったの?
USB-Cへの対応の衝撃があまりに大きすぎてUSB-Cの話しかしてなかったんだけど、多くの人が気になるのはiPhone15シリーズと今までのシリーズの違いだと思います。
ということで、ここからはその違いを解説していきます。
①USB-C(Type-C)に対応
今まで熱弁してきたからわかってる話だと思いますが、ついにLightningケーブルからの脱却をし、iPhoneもUSB-Cを採用することにしました。これが最大の変更点と言ってもいいかもしれません。
②15シリーズ全モデルにDynamic Island(ダイナミックアイランド)搭載
iPhone14 Pro/Pro Maxに導入されたダイナミックアイランドが全てのモデルで搭載されます。ノッチ部分にアニメーションで様々な情報(バッテリー、通知など)を表示してくれる機能で、前回のProモデルの売りともいえた機能です。
個人的にはノッチを使う工夫をするよりもノッチをなくして欲しかった。
③ナンバリングモデルのカラー展開は5色
今回のカラー展開は5色。ブラック、グリーン、イエロー、ブルー、ピンク。ブラック以外の4色は淡いくすみカラーで可愛い印象のカラーリングになって椅子。
④Proモデルのカラー展開は4色
そして、Pro/Pro Maxのカラー展開はナチュラルチタニウム、ブラックチタニウム、ホワイトチタニウム、ブルーチタニウムの4色。
よりガジェット感が強いカラーリングとなっています。
⑤プロセッサはProモデル優遇
毎度のことながら、プロセッサは当然プロモデルが上位。プロモデルに搭載されるのはA17 Proチップですが、正直チップの進化はもはやよくわからないところまで来ているので、そこまで重要視する問題でもないと思います。
ちなみに15/15 PlusにはA16 Bionicチップが搭載されます。
⑥カメラは全モデル4800万画素の高画質、Pro Maxは最大5倍ズームの望遠レンズ搭載
スマホの新モデルでどのメーカーも売りにするのがカメラの高画質具合です。iPhone15も全モデル4800万画素というもはやどれだけ綺麗なのかわからない画素数のカメラを搭載しています。
そしてPro Maxは最大5倍ズームまで可能な望遠レンズを搭載しています。これがProとの差別化になっているっぽい。
⑦Proモデルはアクションボタン搭載
Proモデルは本体側面にアクションボタンが搭載されます。iPhone14まではミュートボタンが位置していましたが15Proモデルではこのボタンに好きな操作を割り当てることでショートカットのような使い方ができます。
⑧Proモデルの材質はチタニウム
Proモデルのボディにはチタニウムを採用したことで今までのシリーズを振り返っても最も軽量なiPhone Proモデルになっています。
さらにチタンということで強度も抜群。
スマホの進化の頭打ち感とアップルの戦略
こうしてみてみると細かな変更点はあるものの進化らしい進化はないというのがiPhone15シリーズ。本当に大きな変化としてはUSB-Cに対応したというくらいで、他のセールスポイントを見てみても進化というよりも“アップルの見せ方”が上手いと言った印象。
ここ最近のスマホ市場全体がそうではあるのですが、スマホそのものが成熟しきった感があって“安く便利なものを”がテーマになりつつあるような気がします。
そんな中アップルは変わらず強気のスタンスで今まで通りの姿勢を崩さない。これもアップルらしいといえばらしいのだけれど、これが消費者に刺さるのかというのはまた別問題。
15シリーズはどうしても欲しければ買えばいいけど、個人的には微妙
ということを検討してみると、今回のiPhone15シリーズは微妙というのが僕の感想です。
Type-Cを使えるのは魅力的ではあるのですが、今後販売されるiPhoneは全てType-C対応になってくるでしょうから、わざわざ15に乗り換える必要はない気がします。
というより、iPhone15じゃなきゃダメな理由というのが特にないのが残念なポイントです。15の購入を検討するなら、「どこにどう価値を見出すか?」というのがひとつテーマになりそうな気がします。
毎年言っていることではありますが、翌年は更なる進化があることを期待して、次の製品を待ちたいと思います。
※Apple公式サイト(iPhone15/15Plus、iPhone15 Pro/Pro Max)より画像を引用